C型肝炎の画期的治療薬の「ハーボニー」についての疑惑、TPPに関連して

     2016/1/13 version 0.2 by 澤田石 順
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 これは書き掛けのメモです。
 TPPが、製薬会社と医療機器メーカーのこれまでにも強大でしかも「不当」な影響力を増大させるという懸念を私は訴えてきました。
 
 薬を医療保険の対象とするか否か、そうするとして何円を保険から支出するか。この決定をするのは、中医協という厚労省の審議会であり、事実上は厚労省が決めます。しかしながら、中医協は医療側、支払い側、公益代表の三者で議論がなされるために、製薬会社等の影響はある程度は抑制されてきました。日本国の守銭奴企業群と、その奴隷である財務省も「医療費抑制」で一致してましたので、薬の値段は米国と比較すると安く、米国よりは「必要ない」新薬が保険の対象となることはそれなりに抑止されてきました。もちろん、日本国に拠点を置く守銭奴・超国家企業の力は経団連内で大きいので、奴隷化した財務省は医療費は抑制しようとしつつ、同時に薬屋さんの利益を増進する政策に邁進してきました。いわゆる、後発医薬品(generic)を推進することで、薬にかかる医療費を抑制しようとしつつ、同時に武田薬品とかの巨大製薬企業については「新薬創設加算」という「一時的」な制度を創設し、その一時的なはずの制度を永続化しようとしてます。「新薬創設加算」により、特許切れの後発医薬品の増加による収入減少を補ってきたわけです。天下りなくして、製薬会社の自民党への献金なくして、もちろん厚労省の官僚の製薬会社への天下りがなかったら、こんな茶番は不可能だったはず。それでも、それなりに、薬屋さんの不当な影響は抑止されてはきていた。それなりにですが。
 
 TPPの第二十六章は「透明性」の確保を規定してます。その付属文書は薬と医療機器についての国民全体の保険制度に入れるかどうかについてのもの。
 TPPは、薬等の保険支払い決定について、営利企業の口出しをこれまでとはレベルが違う程度に保障します。企業の後ろ盾となる国の口出しも恐るべきレベルで保障します。
 製薬会社への厚労省天下り民主党政権時代に公開され、抑制が試みられましたが、自民党が復帰して全くもとの木阿真になりました。これまでですら、必要ない新薬が保険に組み込まれたり、薬の値段が法外に高かったりすることが幾度も幾度もありました。製薬会社は「患者団体」にも資金援助するし、大学の医者に研究費という形で補助することは言うまでもありません。法人税減税でますます金余りの巨大製薬会社が政治献金等の形で、国会議員・政党を買収することはもちろん。
 TPP以前ですら、製薬会社の不当な影響力はすさまじかったのですが、TPPにより更に増大することは間違いないと思います。
 ここで、取り上げる「ハーボニー」という新薬の保険収載とその価格については、昨年の8/26に中医協で議論が紛糾しました。しかしながら、厚労省の官僚と「患者代表」の花井氏の強引な運営で、無理矢理に承認されました。一錠八万円という前代未聞の薬が、異論を排除して無理矢理に保険から払われることになったのです。結論先にありきに見えます。
 さらに驚くべきことは、中医協で決定したその翌日(8/27)に、肝炎治療戦略会議で公費助成が決まったこと。十二週間毎日内服することで、C型肝炎がほぼ確実に治る素晴らしい薬ですが、約673万円の治療費を計六万円未満の自己負担でできることが、こんなに短期間に決まることは異常です。
 通常であれば、保険に入っても、それから何年もの患者と専門医による運動があってそうなるもの。そもそも、高額療養費制度がありますから、例え高額の薬であっても、月に六万円くらいの自己負担で治療できるわけです。
 その薬はギリアド・サイエンシーズ社が販売。悪名高いドナルド・ラムズフェルドが国防長官となる前に会長で、ラムズフェルドは今でも筆頭株主と言われてます。ラムズフェルドが昨年叙勲されたというトンでもない事実は皆様知るとおり。
 ラムズフェルド守銭奴企業の実体そのものであり、イラク戦争のでっちあげにかかわった人類の敵みたいな人物。イラク戦争民間軍事会社のビジネスを導入した張本人も彼です。今回の一錠八万円のハーボニーという薬の保険収載と政府による助成に、彼が関与した証拠を私は知りません。疑惑にすぎませんが、問題として認識して、可能な限り調べる必要はあります。
 ラムズフェルドについてのことはともかく、TPPが日本の医療にどのような影響をもたらす危険があるのか、このことは全国民が考えるべき重大な課題。私はTPPに反対です、もちろん。
 まずは、こちらをお読みください。
 
●TPPの第26章の透明性と付属文書(医療について)の訳と解説

以下が、「画期的新薬」についてのメモです。

@@2016年1月13日(水)
▽Gilead Sciences社とドナルド・ラムズフェルド
▽ハーボニーの異常な高価格、異常な助成金
 前者は中医協で問題に、しかし、2015/8/26に中医協で承認。
 その翌日に、肝炎対策戦略会議がで莫大な助成金を決定。翌日に!!
 なんと、約673万円の総額なのに、自己負担は三ヶ月で三万から六万円。
 ラムズフェルドの授章の年、こんなことがおきた。何かあるのではないのか。

中医協の議事録 2015/8/26

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000102715.html
ハーボニーについて議論が紛糾。日本医師会の中川委員の発言を主に引用する。花井氏は「患者代表」。

○中川委員
 これには、間に合うか、間に合わないか、間に合わせるかどうかですよ、早急に見直せばいいのですから、ワンクールごとに薬価を比較すると、それはおかしいでしょう、薬を半分の期間しか使っていないのですからね、国民に説明できますか、このルールを、おかしいじゃないですか。
○中川委員
 ハーボニー錠は、どうするのですか。ハーボニー錠の算定薬価はどうするのですかと言っているのです。前向きに検討しますって、そういう答えは普通にするでしょう、しかし、今、このことを言っているのですよ、事務局に聞いているのです。
○田辺会長
 では、薬剤管理官、お願いします。
○中井薬剤管理官
 ハーボニー錠については、もちろん、現在の薬価算定ルールでぜひやっていただければと考えております。
○中川委員
 では、見直すつもりはないということですね。
○中井薬剤管理官
 見直すというか、適用するのかどうかということだと思いますので、今回の薬価算定ルールに従ってやるということを考えているということであります。薬価算定ルールの見直しについては、それはまた別途検討する必要があるというふうに感じてございます。
 
 ここで。
○中川委員
 きょうではなくて、次回の中医協でもいいではないですか。
○花井十伍委員
 いや、だから、それだけ遅くなるということになるとすると、それをおくらせたという十字架がきついということです。
○中川委員
 だから、そういう状況の中で、こういうような薬価の決め方をしたことが、看過できないと言っているのです。だから、しようがないでしょうで済まされるということでいいのかという、非常に私は疑問を持っているのですよ。いろんな批判を受けるのは覚悟していますよ、少々おくれることをね、だけれども、待ち望んでいた薬が、このような決め方で決まることに、私は非常に疑問を持っているのです。
○花井十伍委員
 いや、もちろん、中川先生のおっしゃることはよくわかるので、ですから、きょう決めることも可能ではないかということです。中川先生のおっしゃるようなやり方で、本日中にやることも可能なのではないでしょうかということを提案しているわけです。
○中川委員
 本日中に薬価を見直すのですか。
○花井十伍委員
 それは、中医協の権限であれば、可能です。
○中川委員
 可能なのですか。
○花井十伍委員
 そうですね。
○中川委員
 では、済みません、ワンクールごとではなくて、例えば、1万8,372円ではなくて、9,186円にするという意味ですか。
○花井十伍委員
 具体的な金額を私が言うというのは、ちょっとあれなのですが、今、先生がおっしゃったルールであれば、そうだと思います。
○中川委員
 私、見直してそうするべきだと思っています。

2015年8月27日 第15回肝炎治療戦略会議 議事録

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000099990.html
これは疑惑についての検討にはあまり参考にならない。前日の中医協で八万円の薬価で保険適応と決まり、その翌日に助成が決定した。
中医協で決まったその日の日本経済新聞の報道はこう

http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXLASDZ26HGE_W5A820C1TJC000/

米製薬ギリアド・サイエンシズの日本法人は9月初めにもC型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」(一般名レジパスビル/ソホスブビル配合剤)を発売する。厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会は26日、ハーボニーの価格を1錠あたり8万171.3円と決めた。

 ハーボニーは1日1錠、12週間投与する必要があり、1回の治療にかかる薬剤費は約673万円。しかし、国の助成制度の対象になれば、月最大2万円で済むことになる。

 ハーボニーは今年5月にギリアドが発売した「ソバルディ」と同じく、肝炎治療の主流で副作用が強いインターフェロンを使わないで治療できる。日本人のC型肝炎患者の約7割を占める「1型」と呼ばれる遺伝子型の肝炎に効果がある。


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