医療と介護に関する中央政府の政策を妥当化するために

これは思索、そして行動のためのメモである。内容はどんどん肉付けされ、修正されていくことであろう。


■医療と介護に関係する中央政府の政策の作成手続きに関する一般法制定
 官僚であれ民間人であれ、政策を立案することはできてもその結果を正しく予測することは基本的にできない。予測することはできなくても、政策の失敗を事前に定義することは容易にできる。官僚の大多数が持っている幻想は、政策により社会を望む方向に変革できるという設計主義の信念である。官僚は政策の結果を予想できるという幻想も有している。さらに悪いことに、官僚は政策の結果が失敗であっても自ら認めることはできない。官僚は政策の失敗が巨大となり市民や報道機関からの圧力があってはじめて失敗を事実上認めるが、そのようなことは希である。官僚個人は自らの無謬性を本気で信じているわけではないが、組織としてそのようにふるまわないと官僚組織の中での評価が下がるために無謬のふりをせざるをえないという生理を持っている。
 我々の関心は医療保険および介護保険による助け合い制度における厚労省の新政策および政策変更が人々にとって妥当なものとなる確率を高めること、および厚労省の新政策および政策変更の失敗を早期に是正できる確率を高めることである。道路行政やダム建設などに関する中央官庁の政策も失敗する事例が成功事例よりも多いと思われるが、医療関係の政策はは人命および人々の幸福に直接かかわるため、厚労省の政策のみに関しての一般法の制定を点案する。
 厚労省のいかなる政策も事前に成功の定義も失敗の定義もされてないために、実施後に明白に失敗であっても、厚労省は失敗と認めることはまずない。希に失敗を認識することがあるものの、政策の是正に至るまでに長期間を必要とし、それまでの間の被害者は放置され何の損害賠償もない。厚労省が失敗を事前に定義することを義務づけることにより、失敗した政策の是正が速やかになることが期待される。また失敗するであろう政策が実行されることがすくなくなるであろう。
 カール・ポパーの言う反証可能性(refutability)なき仮説は科学的仮説ではないという主張を自明とみなす。科学的仮説の反証可能性を社会的政策に応用することができない根拠はみあたらない。すべての政策は仮説とみなすことができないという一般的な論拠を見出す事はできない。すべての政策は実験とみなすことができよう。

 □厚労省が新政策ないし政策変更を検討するにあたり、サービスに従事する専門家ないし専門家組織、およびサービスの受益者の意見を聴取することを義務化
 □厚労省中央官庁の官僚は新政策ないし政策変更を検討するにあたり、サービスの現場を全国50箇所以上、それぞれ一ヶ月にわたり視察し、事情聴取することを義務化
 □厚労省の新政策ないし政策変更の成果測定手段と成果測定の責任者を定義することを義務化
 □厚労省の新政策ないし政策変更の失敗を事前に定義することを義務化
 □厚労省による新政策ないし政策変更の失敗の事前定義は国会での議決を必要とすることを法律で規定
 □厚労省による新政策ないし政策変更の失敗の定義に関して、パブリックコメントを求めることを法律で規定(これまでは厚労省は行おうとする政策に関してのみ意見を求めていた)

■医療と介護に関係する中央政府の政策に関する市民による変更要求を中央政府が扱う手続きに関する一般法制定
 □市民による一定数(一万くらいが妥当か)の署名がある政策変更要求を厚労省は必ず受理しなければならない: これを「市民による有効な要求」と呼称
 □市民による有効な要求を厚労省は1週間以内に公表しなければならない
 □市民による有効な要求を厚労省は1週間以内に全国会議員に文書でわたさなければならない
 □市民による有効な要求に対する回答を厚労省は3ヶ月以内に公表しなければならない
 □市民による有効な要求に対する回答を厚労省は3ヶ月以内に全国会議員に文書でわたさなければならない
 □回答には要求の拒否理由ないし要求を受け入れる理由とその根拠を示さねばならない
 □回答が要求の拒否であれば、要求拒否により市民が受けつづけると想定されるあらゆる被害に関して列挙し、市民の被害に関して金銭的コストを明記し、要求を受け入れる場合の金銭的コストをも明示しなければならない。
 □回答が要求の拒否であれば、その理由は市民の被害を救済するための金銭的コストが大きいことによるか、あるいは市民の要求の容認が市民にとって害になるかのどちらか、あるいは双方と明言しなければならない
 □要求の拒否回答は国会で議決されてはじめて有効となる
 □要求の拒否回答が国会で議決されない場合は、三ヶ月以内にあらためて回答を公表しなければならない

■現に存在している中央政府の誤った政策を不法行為として司法の裁きに訴える準備
 □弁護士の有志に知恵を拝借
 □地方自治体が医療保険税滞納者に対する資格証明書発行や財産の差し押えに起因する死亡や重篤な障害: これは全国各地で日々おこっていることであり、被告は地方政府と中央政府の双方
 □リハの日数制限により生活機能が低下した被害者の提訴支援: 被告は厚労省官僚と中央政府そのもの
 □政策は形式的には国会において法として成立した場合は、国会自体の作為の罪として
 □政策が行政指導の形式ならば、行政手続法違反として

厚労省の誤った政策を発見したら速やかに、司法の裁きに訴える準備をすると予告する
▼Project Preemptive First Attack against MHLW (PPFA)
 HHLW: MHLW Ministry of Health, Labour and Welfare

 イスラエルフセイン政権がフランスの援助で核爆弾をつくる目的で原子炉を建設したことを知り、原子炉が稼動する前の段階で堂々と空爆しました。空爆後にイスラエルはその軍事行動を Preemptive First Attack と表現しました。そもそも preemptive attack は軍事用語で先制攻撃ですが、first attack も先制攻撃です。Preemptive には先物買いというニュアンスがあります。イスラエルが国際社会に訴えたのは、イラクの原子炉空爆空爆した理由はイラクとの開戦ではない、確かにそれは先制攻撃(first attack)ではあるが中東における将来の惨禍を予防するためのものだということでした。落合 信彦氏は当時 Preemptive First Attack を「防御的先制攻撃」と表現しました。

 私は厚労省(MHLW)に対する防御的先制攻撃(PFA)という穏当ならざる表現を含むプロジェクトを開始することを提案します。なぜそんなことが必要かは医療の再生を願う人々には自明です。すなわち、この10年以上前から、厚労省が次から次へとうちだす新政策や政策の変更のほとんどが市民、医療従事者の双方にとって有害であり、医療の崩壊がますます加速しています。薬害エイズにしろ最近の肝炎の問題にしろ、被害が明白になってから、中央政府が救済に乗り出すまでには途方もない時間がかかります。
 犠牲者が死亡した後に遺族がお金をもらったとしても、政策が適正化されても、死んだ人は生き返りません。厚労省の政策による犠牲者が死亡に到らない場合であっても、患者と家族の犠牲を後から支払う金銭で本当に償うことはできません。
 厚労省が新政策ないし政策の変更を打ち出したら可及的速やかに想定される被害を厚労省、報道機関、国会議員、一般市民、医療関係者、患者・家族に知らせることが必要だと思います。厚労省に対しては被害が明確になったら、法的手続きに入ることを公然と予告するのです。官僚は個人として訴えられることを極度に恐れます。日本医療機能評価機構という第三者期間をでっちあげた動機は小松 秀樹先生の分析が示唆するように、厚労省官僚が医療の安全についての責任を「第三者」にゆだねたいからだと私は思います。
 厚労省は新政策や政策変更を思い付くと、学識経験者と関係者による審議会を設けて
政策を提案するのは第三者のごとく偽装します。厚労省厚労省のいいなりになりそうな人物を多数派とし、座長には必ず厚労省の操り人形を指名します。この手口はあまりにも使い古されており、今や「審議会」なるものの中立性を信じる人はほとんど皆無になってます。

 厚労省の審議会はアリバイ作りであり自作自演ですが、これまでのところは実効性がありました。パブリックコメントの募集もアリバイ作りとしてそれなりに実効的でした。その理由の1つは、審議会の「提案」を厚労省としての新政策や政策変更として決定するまでの過程において、官僚は個人的に訴訟に矢面にたたさせるかもしれないとの恐怖をまったく味わわなかったからだと思います。厚労省の新政策や政策変更がどんな被害をもたらすと予測されるかが、広く社会に知られること、および、実際に被害が現実のものになったら、訴訟を開始すると本気で社会に声明する人々が存在することが知られることにより、厚労省の官僚に対する抑止力がそれなりに働くと思うのです。新政策や政策変更に反対する市民が防御的先制攻撃をすることが無効か否か、やってみないとわからないことです。私は有効との仮説を実験してみようと提案する次第です。
 検討事項は次のようなこと。

 □厚労省官僚の政策による被害者が官僚を提訴する法律的根拠を探る
  □弁護士の方々に知恵をお借りする
  □民法719条の共同不法行為?
  □政策が行政指導ならば行政手続法が有効な攻撃手段?
   See http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%8C%E6%94%BF%E6%89%8B%E7%B6%9A%E6%B3%95
   See http://d.hatena.ne.jp/sawataishi/20070406/1175865757#tb (my blob)

 □厚労省の新政策が予告されたら直ちに、日本医師会、全医連、有志の弁護士らは協業して、想定される被害、被害者を特定をする方法に関して合意文書を作成する。

 □合意文を厚労省の関係部署、各政党、報道機関に送付し、被害者が特定されたならば直ちに厚労省不法行為として提訴の手続きに入ると通告

 □政策決定手続きの不法行為性: 医療提供者と患者・家族の訴えを無視し、現場を直接みないこと自体の不法性

 □政策により死亡したり生活が困窮したという被害と政策の因果関係が明白なことによる損害賠償請求